御嶽山行方不明者探索ドローン(フライト当日)

御嶽山行方不明者探索の当日のレポートです。

2017年9月21日

午前6時
飛行ルートと発着の場所確定のため、石室山荘を出発。本来ならば、この時間から飛ばす予定だった風が強く、機体も持っていかず、調査のため登った。

登り始めは急な斜面、そこから頂上まで40分。上り切ってしまえば、なだらかとガイドさんから言われたが、素人にとってはきつい。山頂付近は、予想どおり風が強かった。風速10-15m、気温-2度。

飛行ルートと離着陸の場所を確定し、すぐに戻った。

午前8時
その日の天気予報とガイドさんの見立てによると昼近くになれば飛ばせるのではないかという予想。帰ってきてミーティング。その結果機体を1機に絞って、飛行前準備を山荘ですませてしまった。

午前10時30分
7名(うちクエスト3名)にて、山荘出発。

午前11時20分
頂上到着。立ち入り禁止区域。火口の近くである山荘の20-30m手前まで入った。

風止んできたため、フライト準備を行う。
テストフライトの前に、遺族会のみなさん、木曽役場担当、NPO法人ACT、クエストで黙祷。

3068mからのスタート、クエストにとっても始めての高度フライト、山脈というロケーションも始めてだったため、難しい状況。荷物搬送サポートはACTさん

1本目はテスト、風・高所での機体の影響・バッテリー残量、頂上のホバリングテスト。異常はなかった。

2本目から撮影を行った。当初は自動航行の予定で、準備・シミュレーションをしていたが、実際の場所に行ったら、事前情報と位置が異なっていた。急遽プランを変更して、自動航行では安全に飛行できないと判断しマニュアル飛行に変更した。ルートは計画通り、当日その場で依頼者からのリクエストルートをすべてマニュアル飛行で行った。計4フライト。

1本あたりのフライトは8分ほど、通常は5-6mでもフライト可能だが。風速5mほどまでは吹いていたが、たまに平地ではあり得ない突風が吹いていた。

探索場所、剣ヶ峰から八丁ダルミにかけた斜面、尾根、山頂裏斜面。

本来であれば山荘のあるところから八丁ダルミが見渡せたが、機体が目視から外れてしまうと目視外飛行になってしまうため、山荘より遥か手前で飛行。
尾根から高度を高くとると風速10mほどの強風が吹いていたため、高度は取れなかった。監視が最低2人という厳戒態勢だった。

予定高度は40-50mまでだったが、実際は5-10mほどの低空飛行を行った。写真の解像度は、遺留品を目視できるくらいで、約1,400枚撮影(サブカメラ含む)。

上から下にフライト、しかも長距離。遠近感と読めない風が非常に困難だった。下から雲が上昇気流、突然下降気流がある。フルスロットルでも高度が上がらないということもあった。風にあおられて機体が90度になったときもあった。

一桁台の気温の中、1時間ほど撮影を行い速やかに下山した。

遺族の方々も始めて入れた場所だった。遺族の方々は、自分の目で場所が見れて良かったと仰っていた。

14:00頃 下山のため、石室山荘を出発。

16:30 ロープウェイ最終便の10分前に到着。

17:00頃 記者会見

無事故でフライトを終えました。関係者の皆さんありがとうございました。過酷な状況の中、2日間に渡りお疲れ様でした。

 

今回の山岳探索に使用したドローンの仕様

機体 : QMO-1000 バッテリー保温対策を施した特別機

使用カメラ : ソニーα6000

 

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